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    メディアは、これから 『英国メディア史』

     
    英国メディア史 (中公選書)

    英国メディア史 (中公選書)

    • 作者: 小林 恭子
    • 出版社: 中央公論新社
    • 発売日: 2011/11/9
    大英図書館が「British Newspaper Archive」というサービスを開始した。このサービス何がすごいかというと、アーカイブしている情報量とその古さだ。なんと、1800年以降にイギリスで発行された新聞のほとんど全てをカバーしており、そのデータに自宅のPCから容易にアクセスできる(1700年代のデータもあるようだ)。1800年といえば日本は寛政12年、11代将軍徳川家斉の治世であり、伊能忠敬が蝦夷をせっせと測量していた時代である。世界に目をやれば、人口はまだ10億に満たず、欧州ではナポレオンが台頭していたと言えば、よりその時間の長さを感じられるだろうか。

    ひとたび検索窓にキーワードを入れてみれば、その検索対象となっている新聞の多さに改めて目を見張る。何しろ、今後10年間で4000万ページのデジタル化を完了する予定である。記事の閲覧には年間約1万円が必要となるが、検索結果は無料で見ることができるので気になる検索ワードのヒット件数の時系列変化を見ても面白い。さすがは、Times、The Economist、Financial Timesなど世界のクオリティペーパーを輩出した英国といったところだろうか。 本書の対象の中心はそんな英国の、新聞、テレビ、ラジオである。これらのメディアがどのような背景から生まれ、どのように普及していったのか、また、どのように歴史を動かしてきたのかを概観することができる。新聞、テレビ、ラジオにフォーカスが絞られているとは言え、429ページの大著である。このボリュームと内容で1995円はお買い得だ。

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    サイエンスで魔法の種明かし 『鉄は魔法つかい』 -HONZ11月22日投稿-

     




    鉄は魔法つかい 命と地球をはぐくむ「鉄」物語

    • 作者: 畠山 重篤、スギヤマ カナヨ
    • 出版社: 小学館
    • 発売日: 2011/6/
    書店は猟場であり、本探しはハンティングである
    今月読む本の紹介は闘いだ。そう、これは大人たちのポケモンバトルだ

    どちらもHONZ随一の武闘派、鈴木葉月の言葉である。HONZメンバーは常にもっと面白い本はないかと日々新刊情報に目を光らせている。毎月第一水曜日に行われる朝会の前日に都内の大型書店に出かければ、“ハンターの目“をしたメンバーを見つけることはそれ程難しいことではないだろう。朝会の前日でなくたって本屋には出かけるのだが、どんな本を見落としているかも分からない。妥協した無難な本を紹介したときにメンバーから向けられる、「あー、その本ね。知ってる、知ってる」という視線の冷たさはシロクマも逃げ出すほど。ギリギリまで良いポケモン、ではなく新刊本を探し続ける必要があるのだ。

    そんな調子でリアル書店だけではなく、ハマザキカクが紹介した凶悪ツールも使いながら新刊本情報をチェックしているのだが、それでも見逃している本がある。朝会の度に「何だその本は!?いったいどうやって見つけたんだ??」と驚かされるのだが、それが自分の好きな分野の新刊本ともなれば、見逃していた自分が情けないやら悔しいやら逃げ出したいやら、とは言えそんな本を教えて貰って嬉しいやらという複雑な感情に襲われる。

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    悲劇の記憶を巡るミステリー 『マスコット ナチス突撃兵になったユダヤ少年の物語』 HONZ 11月22日投稿

     

    マスコット―ナチス突撃兵になったユダヤ少年の物語

    • 作者: マーク カーゼム、Mark Kurzem、宮崎 勝治、宮崎 栄美子
    • 出版社: ミルトス 
    • 発売日: 2011/11

    オーストラリア、メルボルン出身の著者マーク・カーゼムは、オックスフォード大学で人類学を研究していた。大学の帰りに馴染みの書店で大量に買い込んだ本を抱えて下宿先に帰宅したマークの目に一枚の紙切れが飛び込む。
    ダフネノ トコロ ニ チチ

    この特徴ある文字の書き方は父に違いない。東ヨーロッパ出身でありながら、オーストラリア移住後はヨーロッパを訪れることを嫌っていた父がなぜ急に?母親との間に何かあったのか?それとも弟たちに何か?様々な疑問を頭に浮かべながら向かいの年配女性ダフネの家へ向かった著者を出迎えた父は拍子抜けする程にいつも通りだった。特に重要な話を始めるわけでもない。いったい地球の裏側まで何しに来たのか。

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    『医者は現場でどう考えるか』 HONZ11月12日投稿

     
    医者は現場でどう考えるか

    医者は現場でどう考えるか




    • 作者: ジェローム グループマン、Jerome Groopman、美沢 惠子

    • 出版社: 石風社 (2011/10)

    • 発売日: 2011/10




    ある冬、軍事演習を行っていたハンガリー軍の少尉は偵察隊をアルプス山脈に送り込んだ。その直後降り始めた雪は2日間にわたって止むことはなく、少尉は「彼らを殺してしまったのでは?」という不安に苛まれていた。しかし、3日目に奇跡が起こる。彼らは全員無事に帰ってきたのだ。驚く少尉に調査隊のメンバーがその経緯を話し始めた。
    「地図もコンパスもなく自分がどこにいるかも分からなくなり、死ぬのを待つのみという状況だった。ところが、メンバーの1人が滅多に使わないポケットから折りたたまれた地図を発見し、我々は冷静になることができた。その地図は周りの地形と完全に一致はしなかったが、地図を頼りに自らの位置を確かめることで、何とかここまで辿り着けた。」
    彼らの命を救ったその地図を見せて貰った少尉は再び驚くことになる。
    それはアルプス山脈の地図ではなくピレネー山脈の地図だったのだ。

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    『実況・料理生物学』 2011年10月12日HONZ投稿


    実況・料理生物学 (阪大リーブル030)

    実況・料理生物学 (阪大リーブル030)



    • 作者: 小倉明彦

    • 出版社: 大阪大学出版会

    • 発売日: 2011/10/14



    こんな土曜の深夜にアップされるレビューを読んでいるあなたは立派なHONZ好き。というわけで、本日はHONZメンバーの本読み以外としての一面を少しだけご紹介。「ネジの外れた本好き」の集まるHONZだが、本以外にも趣味・特技を持つメンバーが多く、その内容も読む本のジャンルと同様に幅広い。絵画、ダンス、太極拳、マンドリン、スノボ、料理、家を建てる、超能力(手品?)、昭和風泥酔などなど、挙げればきりがない。次々と本を読み漁る好奇心の持ち主はじっとしていることが苦手なのだろう。

    上記の特技の多くが少数のメンバー(というか1人)からもたらされているような気もするが、料理上手なメンバーは多いようだ。成毛は松茸ご飯が得意料理だし、東は夏合宿のさいに大人数の酒飲みたちの胃袋をテキパキとした包丁捌きでしっかりと満たしてくれた。しかし、HONZで料理といえばなんといっても編集長の土屋だ。その腕前を活かしてUSTREAMでこんな美女に料理を教えているのだから本当にうらやまけしからん。

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    プロフィール

    mrkmhiroshi

    Author:mrkmhiroshi
    広島(高校まで)京都(大学・大学院)東京(会社員)
    現在は噂の西麻布に住んでます
    成毛眞代表のHONZに参加してます http://honz.jp/
    職業:マーケティングコンサルタント
    趣味:読書、トレーニング、映画

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