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    【書評】『ご先祖様はどちら様?』 高橋秀美

    本のキュレーター5月の課題図書
    佐藤さん、鈴木さんはもちろん、藤原さんや高橋さんにもおススメ


    ご先祖様はどちら様ご先祖様はどちら様
    (2011/04)
    高橋 秀実

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    私の苗字は「村上」で、出身地は「広島」だ。自己紹介をした後に、「あー、あの村上水軍の」、と言われたことは1度や2度ではない。「違いますよ」と言うことには慣れていたのだが、さすがにハワイで現地のツアーガイド(アメリカ人)に同じことを聞かれた際には驚いた。父方の祖父は京都出身であり、曽祖父は滋賀の生まれで村上姓の家に養子に出されたそうなので残念ながら私に海賊の血は流れていない可能性が高そうだ。どうやら海賊王にはなれそうもない。

    父親がルーツ巡りに熱心だった時期があり、曽祖父の墓参りに滋賀まで行ったこともあるものの、写真を見たこともない曽祖父の話は織田信長や坂本竜馬のそれよりも遠いものに感じられた。実際に、ご先祖様の数は2のN乗で増えて行くので、教科書に登場する人の誰かが本当にご先祖様であっても不思議ではないのだ。本書はひょんなきっかけから自らの「ご先祖様」を探しに日本中を彷徨い歩くことになった著者が、様々な疑問を前にとにかく佇む一冊である。これまでのキュレーター勉強会の課題本とは少し趣の異なる本であり、肩の力を抜いて読み進めよう。読み疲れたら、ひとまず佇もう。

    おススメ本ではあるのだが、何だか紹介しにくい本なので私も佇むだけにしたいところだが、もう少し頑張って書いてみよう。
    「最近の少年漫画は結局主人公がエリートの血筋で天才なだけ」と2ch等で言われているようだが、これは何も「最近」の話ではないようだ。『御伽草子』の「一寸法師」や「ものくさ太郎」も立身出世を遂げた後に、実は立派なご先祖さんがいたことが明らかになるのだ。この話をもとに、全国の裕福な農民たちが家系図作りに励んだらしい。今も昔も、自分や他人の成功には「物語」が必要なようだ。
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    Author:mrkmhiroshi
    広島(高校まで)京都(大学・大学院)東京(会社員)
    現在は噂の西麻布に住んでます
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