冷えてもかぜひかない? 【書評】『かぜの科学』 ジェニファー・アッカーマン著 鍛原多恵子訳
第4回本のキュレーター勉強会課題図書
風邪をひきやすい人はもちろん、風邪と人間の闘いに興味のある人におススメ
装丁の可愛らしさから課題図書に選ばれた本書には、風邪予防に関する様々な情報が満載である。
本書を読めばもう風邪なんか怖くない、と書こうと思っていたのだが、読了3日後にしっかりとかぜをひいてしまった。。。
風邪をひきやすい人はもちろん、風邪と人間の闘いに興味のある人におススメ
装丁の可愛らしさから課題図書に選ばれた本書には、風邪予防に関する様々な情報が満載である。
本書を読めばもう風邪なんか怖くない、と書こうと思っていたのだが、読了3日後にしっかりとかぜをひいてしまった。。。
![]() | かぜの科学―もっとも身近な病の生態 (2011/02) ジェニファー アッカーマン 商品詳細を見る |
本書の副題に「もっとも身近な病の生態」とあるように、風邪は誰にとっても身近な存在であり、風邪にかかったことが無いという人はいないだろう。様々な民間療法があり、「私はこうすれば風邪が治る」「私はこうしているから風邪にかからない」という独自の方法を持っている人も多いと思う。しかし、それらの方法の多くはプラシーボ以上の効果はないだろう。本書には、我々が当たり前に行っている風邪予防の無力さを示す例が山盛りなのだ。例えば、殺菌効果をうたう石鹸やシャンプーは風邪の病原体に全く効果を発揮しない。発揮しない場合もある、ということではなく、全く効果がないのだ。
では、どのような方法で風邪に対処すればよいのか?先ずは敵を詳細に知ることから始めなければならない。なぜ殺菌効果をうたう石鹸やシャンプーが風邪に効かないかというと、風邪の原因は細菌ではなくウイルスだからだ。そのため、細菌が細胞壁をつくることを阻害することで細菌を殺す抗生物質は役に立たない。
※細菌とウイルスの違いは大幸薬品のサイト(URL)が参考になる
とはいえ、接触感染が風邪の感染に寄与していることは間違いないので、しっかりと手を洗い、帯にあるように「鼻に触らない」ことは重要だ。私たちが無意識のうちにどれだけ鼻をほじっているかは、本書で紹介されている2001年イグノーベル公衆衛生賞を受賞した研究を見れば良く分かる(ガーディアン)。世の中は本当に広い、まさか人がどれくらい鼻をほじっているかを研究している人がいるとは。キュレーター勉強会ではよく鳥研究者とキノコ研究者が話題に上るが、今後は鼻ほじり研究者もチェックが必要かもしれない。
様々な病気の薬が開発されている現代においてなぜ未だに風邪の特効薬がないのか?と一度は疑問に感じたことがあるのではないだろうか。その理由は大きく分けて2つある。1つは風邪を引き起こすウイルスは非常に多様であり、またそれが変異するので、ターゲットが絞り難いこと、もう1つは風邪は軽度な疾患であり、短期間で治る病気だから、開発コストが高くつくということだ。つまり、風邪の特効薬は瞬時に効き、一切の副作用が無く、安価でなければならない。うーん、これは確かに難しい。Schering-Ploughの開発したプレコナリルは風邪の罹患期間を1~1.5日短縮することに成功したが、安全性の問題をクリアできなかったようだ。
本書の巻末にはたっぷりと風邪予防のティップスと風邪をひいたときの食べ物に関する情報が付録「風邪の慰みに」が添えられている。そこには、風邪で気分がすぐれないときに読むべき本まで紹介されている。素敵な装丁に加えて、風邪のときに読むべき本まで集められては、本好きなら放っておけない。
では、どのような方法で風邪に対処すればよいのか?先ずは敵を詳細に知ることから始めなければならない。なぜ殺菌効果をうたう石鹸やシャンプーが風邪に効かないかというと、風邪の原因は細菌ではなくウイルスだからだ。そのため、細菌が細胞壁をつくることを阻害することで細菌を殺す抗生物質は役に立たない。
※細菌とウイルスの違いは大幸薬品のサイト(URL)が参考になる
とはいえ、接触感染が風邪の感染に寄与していることは間違いないので、しっかりと手を洗い、帯にあるように「鼻に触らない」ことは重要だ。私たちが無意識のうちにどれだけ鼻をほじっているかは、本書で紹介されている2001年イグノーベル公衆衛生賞を受賞した研究を見れば良く分かる(ガーディアン)。世の中は本当に広い、まさか人がどれくらい鼻をほじっているかを研究している人がいるとは。キュレーター勉強会ではよく鳥研究者とキノコ研究者が話題に上るが、今後は鼻ほじり研究者もチェックが必要かもしれない。
様々な病気の薬が開発されている現代においてなぜ未だに風邪の特効薬がないのか?と一度は疑問に感じたことがあるのではないだろうか。その理由は大きく分けて2つある。1つは風邪を引き起こすウイルスは非常に多様であり、またそれが変異するので、ターゲットが絞り難いこと、もう1つは風邪は軽度な疾患であり、短期間で治る病気だから、開発コストが高くつくということだ。つまり、風邪の特効薬は瞬時に効き、一切の副作用が無く、安価でなければならない。うーん、これは確かに難しい。Schering-Ploughの開発したプレコナリルは風邪の罹患期間を1~1.5日短縮することに成功したが、安全性の問題をクリアできなかったようだ。
本書の巻末にはたっぷりと風邪予防のティップスと風邪をひいたときの食べ物に関する情報が付録「風邪の慰みに」が添えられている。そこには、風邪で気分がすぐれないときに読むべき本まで紹介されている。素敵な装丁に加えて、風邪のときに読むべき本まで集められては、本好きなら放っておけない。
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